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外国人が増える日本、日本語をどう教えるべき?

非英語圏の国に移住した場合、社会に深く入っていくには、その国の言葉が必須だ。“暮らすだけ”なら英語でも事足りるかもしれない。また同じ国出身の移民の母数が多い場合は、その移民コミュニティの力で母語のみで済むことも多いかもしれない。
しかし、それではその国の文化・習慣をくわしく知ることはできないし、いつまでたっても「お客さん」のままで、その国になじめない。子どもの場合は日本語が理解できずに、通う学校の勉強についていけなくなる。

今まで日本は、日本語を国語として国内の学校教育で教えてきたことはあるにせよ、日本語を母語としない外国人へ向けて、一時期を除き積極的に日本語教育に対して取り組んできたことはない。

法務省によれば、2016年の時点で約230万人の在留外国人が、日本で暮らしている。彼らにとって、日本語の習得は日本社会に溶け込むために不可欠な手段だが、今まで外国人に対する日本語教育は決して十分とはいえなかった。この現状に力を入れるべく今年2017年に、超党派の国会議員からなる日本語教育推進議員連盟が立ち上げられた。

外国人に対して自国の言葉を教えることについて、海外ではどのような取り組みを行っているのだろうか? フランスの例を中心に見てみよう。

市が開く外国人向け格安語学講座
例えばパリ市では、市が開く講座としてフランス語を母語としない人のためのフランス語講座が開かれている。「就学経験はあるか」「ラテン語のアルファベット表記を学んだことがあるか」「筆記を学びたいのか会話を学びたいのか」「DELF(フランス語資格)対策」など各人のこれまでの教育背景・強化分野別に、日常生活でフランス語を必要とする人から、それを超えて学びたい人までコースが細かく分かれている。教壇にはもちろん、その分野の資格を持った教師が立つ。

一例を挙げると、筆記と会話を総合的に学ぶ講座には、入門者から上級者まで習熟度別に9段階のレベルが設定されている。受講料は1回2時間、1ターム3カ月のコースであれば、131ユーロ(約1万5000円)で受講できる(2017年4月現在)。パリ市内の通常の語学学校であれば、いくつか見てみると、学校にもよるが同程度の時間で3カ月で650ユーロ(約7万5000円)前後であるため、パリ市のコースはずいぶん安い。

経済的な料金設定に加え、開講時間も昼と夜の両方の時間帯を用意。そのため毎回申込者は多く、受講はキャンセル待ちになることがしばしばある。

日本語教育は文化交流を促進させる
日本語教育への取り組みは、国外への文化の紹介、さらには日本に対するファンを増やすことにもつながる。自国語教育の普及と文化交流を進める機関を設けている国も多い。

フランスであれば、フランス語学校および文化センターである政府公式機関「アンスティチュ・フランセ」や政府公認の非営利団体「アリアンス・フランセーズ」がその目的を担う。各機関によれば、前者は世界96カ所設けられ、後者は132カ国800校以上を展開している。また英国では、上記のような役割を公的国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が担当する。同機関によると、100カ国以上の国と地域で190以上のオフィスを持つ。

海外には言語学習と文化的窓口となる拠点を作り、国内には外国人に対する日本語教育の質とインフラを充実させることで、日本語を母語としない外国人の、日本語および日本文化に慣れ親しむためのハードルを下げられる。

もちろんこれら政策への投資は、すぐに効果が期待できないかもしれない。しかし、まいた種は巡り巡って、将来知らぬ間に各所で大きな実をつけ、いずれ日本に還元されていくはずだ。
(加藤亨延)