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「リバース」1話。夜神月(藤原竜也)L(小池徹平)ミサミサ(戸田恵梨香)結集、武田鉄矢の手にはみかん

金曜ドラマ「リバース」第1話  TBS 金曜よる10時〜  
原作:湊かなえ 脚本:奥寺佐渡子 演出:塚原あゆ子 
出演:藤原竜也 戸田恵梨香 小池徹平 玉森裕太 三浦貴大 市原隼人 武田鉄矢 ほか

読んでイヤな気分になるミステリー、略して“イヤミス”の大家・湊かなえがはじめて挑んだ男性を主人公にしたミステリーがドラマ化された。
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大学時代のゼミ仲間のひとり広沢由樹(小池徹平)が旅行先で謎の死を遂げてから10年。一緒に旅行していた仲間たち深瀬和久(藤原竜也)、浅見康介(玉森裕太)、谷原康生(市原隼人)と、別荘を宿泊先に提供した、もうひとりの仲間・村井隆明(三浦貴大)はその出来事を「墓場までもっていく」と誓いあったものの、何者かによる“復讐”が10年経ってはじまってしまうという、こわ〜いお話だ。

いったい誰が広沢を殺したのか? すごく仲良さそうだったのになんのために? 

4月14日に放送された初回は、生まれてからずっと、珈琲を淹れることくらいしか特技がなく、まったくもって冴えない人生を送ってきた深瀬(藤原竜也)に、ついにかわいい恋人(戸田恵梨香)ができたというのに、幸せ絶頂のとき、彼女のもとに「深瀬和久は人殺しだ」 という手紙が届いて・・・というもの。

冴えない人生のなかで唯一の友人だった広沢と深瀬の仲良い場面が何度も何度も出てくるが、深瀬は人殺しなのか? それとも彼は何者かに陥れられているのだろうか。そこがミステリー。
恋人・美穂子との進展もあまりにもトントン拍子であやしい。
デートのとき、美穂子の「深瀬くんってどんな人生おくってきたの?」という問いかけに、
「つまらない人生」「エピソードがなにもない」と答える深瀬。
 それを聞いて「なんにも」と復唱する美穂子の声のトーンが微妙だった。
ただ、「あの・・・あのね・・・」と何か言いかけたものの、深瀬が調味料を服にたらしたので、話はうやむやになってしまう。完全に何かあると思わせて、単に「深瀬和久は人殺しだ」の手紙をすでに受け取っていたってことなのか。原作未読だったら、とっても気になる。
とにかく、驚きのラストが待つミステリーなのだが、その結末をすでに知っているひとに対しても、なんと、原作のラストの先を湊かなえが書き下ろす趣向になっているそうだ。これは見ないわけにはいかないではないか!

さらに、原作には出てこない元警察官のジャーナリスト(武田鉄矢)なる人物が、深瀬たちを執拗に追いかける。武田鉄矢の凄みで、藤原くんたち、もう絶対逃れられない感じがする。
武田鉄矢がみかんをもっているものだから、金八先生の「腐ったみかんの方程式」(同じ箱のみかんが一個腐っているとほかのみかんも腐ってしまう)的に、おまえらみんな腐りの連鎖が起きているんだぞーって意味なのか? と深読みしてしまいました。

武田鉄矢がロックオンしている元大学のゼミ仲間がそろいもそろって、犯罪なんか絶対しなさそうなさわやかな雰囲気を醸すものだから悩ましい。
笑ったときにのぞく八重歯が強力な発光体のような藤原竜也、笑うと目がなくなり、赤ちゃんをあやす顔も優しすぎる市原隼人、やや下がった目尻のカーブが芸術的で、少女漫画キャラのような玉森裕太。笑った時の目尻の皺すら無垢に見える小池徹平。政治家の息子役の三浦貴大だけがちょっと曲者キャラなのだが。とにかく、10年前にみんなで旅行しているときの楽しそうな感じは、女のイヤミスには絶対ないものがあった。これまで湊かなえが描いてきた女のイヤミスは、女のこわさ全開で、そこが面白かったが、男たちにはそんなに裏があるように見えない。ちょっとだけ、市原隼人と小池徹平が三浦貴大の妹(門脇麦)をめぐってなにかあるようだが、市原隼人の気配がそんなにドロドロして見えない。そこにこそ落とし穴があるのかもしれないが、これはほんとうにイヤミスになるのか? が最大の謎であり、最大の魅力に思える。

とりわけ、藤原竜也と小池徹平。映画の夜神月と舞台のL(デスノート)という夢の顔合わせが、あの作品との怜悧な頭脳戦とはまるで違い、ただただ無邪気な友情で結ばれている感じなのだ。ついでに言えば、戸田恵梨香は映画のミサミサで、デスノートの主要俳優が3人ということに何か意味があるのか、単なる偶然なのかもミステリーだ。

さて、話しを戻そう。
冴えない(しつこいがそういう設定)の深瀬に、
「人生を変えるのは死に物狂いの努力なんかじゃなくて、
一杯の珈琲、思いがけないおいしい食べ物、見たこともない風景、見知らぬ人との出会い、そんな些細なことが人生を変えていくんだって」と教えてくれたのが広沢だった。
そんな広沢を失って10年、何をしていても、その出来事にリバースしてしまい、深瀬は前に進めない。
絶叫芝居が十八番の藤原竜也が、今回はぼそぼそ系。ぼそぼそしていても、言葉がはっきり伝わるのはさすが舞台で鍛えてきただけはある。昨年(2016年)の10月にの主演舞台「鱈々」(栗山民也演出)でも、クライマックス、絶叫しないで絞るような切々とした声で語り、俳優として変化の兆しがあるのではないかと想像する。
美穂子に対するウブな反応の数々や、藤原自身はサッカーが得意なのに、冴えない役のためわざと下手にボールを蹴るところなどは、5月で35歳だなんて思えないほどだった。
これらがやがて大きく覆されて、次第に男たちのドロドロバトルロワイアルになったりするのだろうか。こんな無邪気なかわいらしい男たちがドロドロしたらそれはそれでおもしろそうではある。
(木俣冬)